AYINA JAPANの活動 カメルーン 在日アフリカンインタビュー

わくわくを仕事にして世界統一認定資格保持!カメルーン出身のソフトウェアエンジニアに聞いてみた

日本に16000人いるといわれている在日アフリカンの方にフォーカスを当て、その方の魅力、出身国のリアルなお話、日本に住んでみた実際の感想などを教えていただくこの企画。

今回は東北支部長の土屋がお送りします! みなさん、サッカーのエトオ選手、エムボマ選手といえばどこの国の方かご存知ですか…?そう、カメルーンですね!(無理矢理)

実はカメルーンは、「リトルアフリカ」と呼ばれるほど気候帯や文化が多様な国。サッカーだけでなく世界遺産マンダラ山地にそびえるムルシキという奇岩や、自然景観・緑豊かな景色・滝・手工芸品に富んだ有数の観光地バメンダ地区等々、観光の見どころも盛沢山なのです!

今回はバメンダ出身で、現在は外資系の会社の日本支部でお勤めのソフトウェアエンジニア、アブサロムさんにお話を伺ってきました。ちなみに彼は私土屋と以前からの友人でもあります。

※コロナの影響でオンライン取材となっております

【アブサロム・シュウのプロフィール】1991年生まれ。カメルーン共和国(バメンダ)出身。大学在学中からウェブディベロッパー(簡単に言うと「こういう風に作りたい」というウェブページデザインのアイディアを、パソコン専用の言葉、すなわちプログラム言語を用いて形にしてくれる人)として働き始める。転職や起業を経て現在は外資系会社の日本支社にソフトウェアエンジニアとして勤務。自ら手掛ける自身のウェブサイトも持つhttp://absalomshu.com/

 

AYINA副代表内藤は撮影担当として参加

厳しい両親。でもスケールの大きい家族

土屋
久しぶりだね!元気だった?まずはバックグラウンドについて聞かせてもらいたい!
仕事の面接みたい(笑)
アブサロムさん
土屋
ごめんて(笑)皆さんにちゃんとした情報を提供したくてさ。

まず、子供時代はどんな子だったの?

静かだったかなあ。父が厳しくてね。母はお仕置きすることはあったけど、父よりは厳しくなかった。
アブサロムさん

土屋
ちょっと矛盾(笑)けど、分かる気がするな。お父さんは威厳があって、お母さんはしつけてくれる。厳しさの方向性が違うのかも!

あ、そういえば言ってなかったけど、父は今日本に住んでてね。確か2010年くらいからかなあ。その前から仕事で日本とカメルーンを行ったり来たりしてから、よく覚えてないんだけど。
アブサロムさん

土屋
知らなかったよう(笑)!

あと、お姉さんと妹さんいらっしゃったよね?

そうだよ。この二人はだいぶ違って、姉さんはずっとカメルーンにいて、妹は8歳からアメリカにいるんだ。
アブサロムさん

土屋
なんだかスケールの大きい家族!

驚くAYINA土屋

プログラミングと出会ったのは中学生のとき

土屋
そういえば、プログラミングを始めたきっかけって覚えてる?

日本でいう中学校に入りたての時、1ケ月くらいの短期スクールでコンピューターの使い方を習ったんだ。スクールの終わりの方にQ Basicというプログラミング言語に触れて、自分が思い描いていることを実装できることが面白くて興味をもった。
アブサロムさん

土屋
ほえー!そんな若いうちに興味をもって、今の仕事にしているのね?!

日本で言う高校でも理系を選んで、大学ではコンピューター関連を勉強したかったんだけど、当時は主専攻が数学か物理しかなくて、副専攻でコンピューターサイエンスを取ることにした。自分が卒業した後にコンピューター主専攻ができて、なんで早くできてくれなかったんだよ!って思ったわ(笑)
アブサロムさん

土屋
(笑)

当時のわくわくを今でも大切に出来たアブサロムからすると、好きの見つけ方と極め方ってなんだと思う?

これ、強い質問だねえ……みんなそれぞれの答えを持っていて、自分の方法が他の方々に使えるとは言えないから、あくまで自分の例なんだけど、特に考えたって訳ではなくて、自分自身を感じ取ったって感じかな。あとは好奇心。それと、お金をもらえなくても情熱をもってしたい事かどうか自分に聞くとか?
アブサロムさん

土屋
最後の指標は、今の私にとってのAYINAみたい!分かる気がするなあ。

内藤が撮る私の写真は変な顔が多い気がします…

日本にも10人しかいない世界統一認定試験の資格保持者

土屋
私も一応C, Python, R, Swift,ってプログラミング言語触ってみたんだけど、自分は向かないなって思った笑 プログラミングの面白さってどこにあると思う?

最初はコンピューターの中で何が起こってるか分からなくて、ブラックボックスのようなものだったんだけど、こことここが繋がっていて、小さいパーツがシステムを作っているんだと分かっていって、そこに面白さを感じた
アブサロムさん

土屋
ほうほう…私はそれを生物習ったときに思ったなあ。そういえば、改めてアブサロムが自分で作ってるwebサイト拝見したんだけど、Zend Certificate Engineerっていう、世界統一認定試験の資格を持ってるんだね!

うん。これはphpというプログラミング言語の資格なんだ。当時、この言語を学んだことがなかったし、キャリアに生かせると思って挑戦した。
アブサロムさん

土屋
その、zendっていうところのサイトで資格所持者調べたんだけど日本は10人、カメルーンではたったの6人なんだね…!

自分は5番目の取得者だったみたい。この業界は革新のスピードが速いから、この資格を取得した後にまた新たな言語や資格が出てきてしまうんだけれどね。
アブサロムさん

土屋
それから、使えるプログラミング言語が18あったのにも驚いたよ!

すべての言語をマスターしているというより、どういうときにどれを使うか、どういうコンセプトか分かるくらいだけどね。
アブサロムさん
土屋
にしても、挑戦するだけでもすごいと私は思う(プログラミングへの苦手意識が強い私笑)新しい言語を勉強するときのコツはあるの?
コツという程でもないけれど、プログラミング言語そのものではなく、論理やアルゴリズム、どういう風に応用すればいいかなどを捉えることかなあ。
アブサロムさん

土屋
なるほどね!確かに私も4つの言語試した時、共通する論理とか考え方はあったような気がしたわ。

彼の英語のスピードは早く、典型的な頭の良い人を感じさせます

アフリカでも、ウェブ系の仕事の需要はあるけれど・・

土屋
カメルーンやアフリカでのウェブ関連のお仕事の需要や可能性については、どう考える?
まず、自分たちのような国の利点について言うと、既に発展した国々をお手本にすることができることだと考えている。もう一度はじめから投資したり開発したり必要はないんじゃないかな。
アブサロムさん
土屋
なるほど。日本も他の国をお手本にしつつオリジナリティを作ってきた時代もあったしね。
そして需要や可能性については、テクノロジーやウェブ関連の仕事の大切さに気付いてきたし、手本が既にあることもあって、ウェブディベロッパーのような仕事の機会は増えてきていると思うよ。ただ、実際にやってみるときには壁や、想定とのギャップもある。
アブサロムさん
土屋
そのギャップを解消するヒントの一つが私たちの理念“アフリカの方によるアフリカのための発展”だとAYINAは信じているんだよね。
うん、もし変わりたくないと思う国があるのであれば、そこは強要するべきではないとも思う。原動力は内部からくるものだしね。
アブサロムさん
土屋
私たちの理念の価値が分かって嬉しい!ところで、ウェブディベロッパーに興味がある方々に何かメッセージはある?
メッセージというほどでもないけど…IT全般技術はとっても早く変わると思うんだよね。技術(例えばプログラミング言語)はあくまでツールだから、それをどう応用するかに集中してほしいかな。
アブサロムさん

テンションがあがるとジェスチャーが増えるアブサロムさん

初年度は私費で日本の大学院へ

土屋
修士号を日本の会津大学で取ったよね?分野からすると欧米への留学という選択肢もあったと思うんだけれど、何故日本を選んだの?アブロサムの小さい頃に、お父さんがお仕事でカメルーンと日本を行き来してた影響?
うーん…父の影響はあったかもしれないけれど、それだけじゃないと思う。もちろん小さい頃父から日本の話を聞いて、社会がよくまとまっていることに興味をもったし、小さい頃から日本人と交流もあったけから、プラスポイントにはなっていたとは思うけど一番は技術レベルに興味があったからだね。
アブサロムさん
土屋
そうなんだ!嬉しいなあ!そういえば、日本にはABEイニシアチブで来たんだっけ?
いや、一年目は私費。といっても父のお金だけど。でも2年目は奨学金を頂戴できたよ。
アブサロムさん

日本はみんなのために心地よい場所を作ろうとする配慮がある国

土屋
(私費で来られたのか…!)そうだったんだ!そういえば初めて会ったときまだ会津大の学生さんだったよね?そのとき、大学では英語が使える分日本語を学ぶ機会があまりないって言ってたけど、外資系の会社で働いてて言葉には困らない今でも日本語を勉強したいと思う?
思うし、基本的に新たなスキルを身に着けるのは面白いから勉強したいけど、実際時間取るの難しいんだよね…
アブサロムさん
土屋
大学でも職場でも英語使える状況だとなかなかね…実際お仕事忙しいと思うし。日本で何か困ったことはない?
基本的には大丈夫だよ。うまく乗り越えられる。家の契約とか株式市場とか携帯電話関連とか生活を“より良く”するための交渉はそりゃちょっと不便だけど。
アブサロムさん
土屋
それはそうよね…でも基本的に大丈夫ならまずよかった!じゃあ、日本に住んでて良かったことは?
これね、本書いた方が良いと思うくらいカメルーンと日本の違いがいっぱいあるよ。この違いがいわゆる日本の良さという質問への回答になると思うから、今回は少し、思いつくとこだけ言うことにする。
アブサロムさん
土屋
本!(笑)アブサロムのウェブサイトに書いてくれてもいいよ!
だね。まず、技術だけじゃなくて交通の便とか保険とかのしくみも発展していると思う。計画が立てやすい。あとは文明化してて綺麗で安全。みんなのために心地よい場所を作ろうとする配慮も感じる。それから、例えば蛍とか、日常で見過ごしてしまいそうな小さいことも注意深く大事にするところ
アブサロムさん
土屋
少しじゃない笑 いっぱいありがとう!そういえば、カメルーンに帰る予定はある?
特に決めてないなあ。日本にも何年いるかも分からないし。
アブサロムさん

今後は日本のもっと色んなところに行きたい

土屋
そっかそっか!まだ日本で会えるのは私にとっては嬉しいことだ!最後に、今後の目標を教えて!
仕事で言うと、手掛けている2つのプロジェクトを遂行することかな。人生については、出来る限り色んなことを経験することだよ。これまで20くらいの都道府県に行ったから数を増やしたいし、スノボ、スケート、サイクリングとかももっとやりたいな。
アブサロムさん
土屋
いいね!今度私が住んでる米沢市の川原で芋煮会しよう!待ってる~!

食べ物やご当地イベントの話になると自然に笑顔になる、分かり易い土屋(笑)

取材後手記

小さい頃のわくわくを大切にして、仕事にすることができたアブサロムさん。努力はもちろんですが、自分のわくわくに正直になったことが、彼の自信に満ちた雰囲気や楽しそうな生き方の秘訣のひとつだと感じました。

それから、普段使っている日本語等の言葉と違い、プログラミング言語は世界共通で使える点が良いなと思います。数学や物理、アート等と同じような、出身も勤務地も関係なく、みんな平等にボーダレスにコミュニケーションが取れるツールと言ったところでしょうか。

アフリカと聞いてIT系のイメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本でも農業従事者の方々がいらっしゃり、先生がいらっしゃり、IT系の方がいらっしゃったりするように、様々な国があるアフリカ大陸でだって、職業の多様性があるのは同じです。

近い将来、アブサロムさんのように自分のわくわくを大事にして仕事を楽しめる方々が、アフリカ諸国始め日本、世界中に増えることを心から願ってやみません。

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〈取材・文=土屋みなみ(@TsuchiyaMinami)/撮影=内藤獅友〉

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