AYINA JAPANの活動 コンゴ 在日アフリカンインタビュー

「なんで冬なのに黒人がいるの?」と言われたBRANDYさんと差別について対談しました

AYINA副代表の内藤です。

突然ですが、皆さん差別をしたことはありますか?

恐らくほとんどの方が「いいえ」と答えられたかと思います。

しかしながら、特にマイノリティな立場の方へのアンケートなどをみてみると50%以上の方が「差別を受けたことがある」と答えているケースがほとんどです。

これは「無意識的差別」という、本人は差別をした覚えがないのに、相手には差別されたと捉えられてしまう事例が多いという状況が考えられます。

例えば、以前SNSなどで話題になった、生まれつき髪の毛がカールな女性を起用し「ツヤッツヤのサラッサラになりたい」というキャッチコピーをつけたトリートメントの広告がありました。

黒人女性を起用し「ツヤッツヤのサラッサラになりたい」と広告 『差別的意図はありません』と販売元は弁明するが、いいえ、これは差別です!

企業側も「差別的意図はなかった」と伝え、SNSの反応でも「問題ない」といったようなコメントもありました。

一方で、起用された女性と近い関係のある立場の方からや、差別に対する問題意識が日頃から高い方を中心に、「これは明らかに差別だと思う」という意見がありました。

このように、差別というのは意図的ではなく起こってしまうものでもあり、私個人の意見にはなりますが、文化的に「無差別意識をしてしまいやすい環境にある」と考えています。

私たちは、「アフリカと日本をつなぐ」活動を理念として持っており、その中には偏見や差別を無くすといった目的も含まれています。

そのためには、まずは差別について知る機会を増やし、各々が差別について考え、共有や議論をするきっかけが必要だと考えています。

そこで今回は、AYINAのメンバーでもあり、自身もコンゴ民主共和国と日本のミックスであるマルチクリエイターでアーティストのBRANDY(ぶらんでぃ)さんと対談形式で差別についてお話をしてみました。

AYAKA BRANDY(あやか ぶらんでぃ)【マルチクリエイター、Artist】コンゴ民主共和国の父と日本人の母を持つ。コンゴ生まれ、生後3ヶ月から日本で育つ。音楽やファッション、愛や情熱、支援活動を中心にアーティストとして東京を拠点に活動している。デザインをツールに世界を愛と元気に染めていきたい。現在Beauty Japan神奈川大会ファイナリスト。

AYINA土屋(右)は撮影&ガヤ芸人担当

内藤
久しぶり!元気だった?
お久しぶりです!元気でしたよー。
BRANDYさん
内藤
以前話したのいつぶりだっけなー。…あれ?というか僕らまだ一回も会ってないか!(笑)
そうですよ〜まだオンラインでしか会ってません(笑)
BRANDYさん

ベナン在住の内藤は寂しさのせいかよく記憶がオカシクなります

こうであるべきという文化が引き起こす差別

内藤
今日は少しセンシティブな、差別というテーマで話したいんだけどいいかな。
はい、私は基本的にそのテーマで話すの大丈夫なので、色々聞いてください。
BRANDYさん
内藤
ありがとう。まず、僕も色々な国に住んで気づいたんだけど、日本は外国人やLGBTQ、障害者の方々など、マイノリティな方への無意識的な差別が多いと思うんだけれど、それについてどう思う?
日本は、学校での校則とかがそうですけど、見た目とかに対して「こうであるべき」という文化が強いと思います。
BRANDYさん
内藤
たしかに。実際にBRANDYちゃんも嫌な経験ってあった?
私、中学のとき※ブレイズヘアだったんですけど、とある社会科の授業で先生がドレッドヘアについて触れたんですね。そのときに男子が何も言わず私の方をチラっとみてきて、少し強めに「なに?」って言ったらクラスが変な空気になったりとかありましたね。
BRANDYさん

※ブレイズヘアやドレッドヘアなどは、オシャレのためにやる場合もありますが、髪質上伸びると手入れが大変という理由ですることもあります。BRANDYさんもケアが面倒で親にブレイズにしてもらっていたそうです。

内藤
自分も校則が厳しい学校にいたから、当時はそれが当たり前だと思っていたけど、地毛が茶色いのに黒髪にさせられたりしてる子もいて、今よく考えたら謎すぎる行動させられてるよなぁ。
あとは行動についても同じような教育もあって、中学では駅伝部だったんですけど、上下関係が異常に厳しかったり、練習とかも全て合同で、自主性が磨かれにくい環境だなって思っていました。
BRANDYさん
内藤
確かに。社会人になってから急に「自主性を!」みたいなこと言われることもあるけど、学生時代は真逆を学ばされてることが多かったもんなー。
私の場合は、自分自身がミックスでマイノリティっていうこともあり、その違和感に早めに気づけたというのもあると思います。
BRANDYさん

BRANDYちゃんと話すといつも学びがあります

最近も「なんで冬なのに黒人いるの〜?」と言われた

内藤
ネガティブな経験を掘り起こすのも本当はしたくないのだけれど、ここ最近も差別的なことをされた経験ってあったかな?
はい、今回の趣旨はちゃんと理解してるので大丈夫ですよ。最近だと年末に黒人ハーフの友達と道を歩いていたら、すれ違った30代のおじさんに「なんで冬なのに黒人いるの〜?」言われましたね。
BRANDYさん
内藤
聞いてるだけで腹が立ってきた・・・
周りに彼の連れの方も何人かいたんですが、周りも便乗していて、注意も何もしなかったですね。
BRANDYさん
内藤
それは辛いなー。自分も海外ではじめてアジア人差別を経験したけど、周りも見て見ぬ振りされて、二重で怒りと悲しみが襲ってきたもん。
無意識な差別はまだ許せるものの、直接的なものはやっぱりダメージでかいですよね。感情のエネルギーをかなり使います。
BRANDYさん

怒りが込み上げてきている内藤

興味で質問されても嫌に感じることはある

内藤
ちなみにミックスの友人が、「初対面でどっちの親が日本人?とか英語は話せるの?とか同じような質問を毎回されて疲弊する」って言ってたんだけど、これについてはどう思う?
うちらって名前とか、見た目が根本的に典型的な日本人からかけ離れているので余計にハーフなの?どこの?って聞いてしまうと思うんです。

日本の方って海外志向強いじゃないですか?自分にはない世界だな、と思っての質問なので興味持ってしまうんですよね、きっと。

BRANDYさん
内藤
うんうん。身近にハーフの方がいなかったり、海外志向が強いとプラスな感覚で聞きたくなる気持ちは僕もとてもわかる。
私は関係性ができてる上で聞かれるのは大丈夫なので、初対面、関係値が浅い段階で聞いてしまうのが良くないかなって思ってます。
BRANDYさん
内藤
僕も海外に行くまでは、むしろこういう風にガンガン聞いてしまっていた側なので、今後とも気をつけます!

AYINA土屋は撮影係なのに主張が一番強い

外に出たことで自分らしさを愛せるようになった

内藤
前にBRANDYちゃんのこういうツイートを見かけまして

内藤
この感覚になるまでの過程とか教えて欲しい。BRANDYちゃんと同じような境遇で悩んでいる方もまだ沢山いると思うので。
境遇は一人ひとり違うので、参考になるかはわかりませんが、私の場合はとにかく外に出まくりましたね。
BRANDYさん
内藤
というと?
アートをやりたいなって思ったときに、いろんな個展に足を運んでみたんです。特にコネとかもなかったのでアーティストの方々との面識もなかったんですが、2回目にいったときに「あ!この前もきてくれてましたよね!」ってすぐに認識してもらえてたんですね。
BRANDYさん
内藤
なるほど!
一つの環境だとその中での自分の存在で捉えがちですが、外に出てみることで、自分を理解してくれる存在に出会えたり、これまでと違う印象を持ってもらえることもあるので、その積み重ねで"自分らしさ"に気づけるようになったような気がします!
BRANDYさん
内藤
自らの足でいろいろ外の世界にいくことで、多様な環境に出会えたんだね!
今思うと私と出会い、関わってくれる人に恵まれていたな、と心から実感しているし、自分を愛せるようになったので感謝ですね!
BRANDYさん

内藤
感動した!BRANDYちゃんのこの経験や想いは、決してミックスの方だけじゃなく、自分に自信が持てない方にも響くんじゃないかなって思います。
もう一度いいますが、これはあくまで私の経験ですし、皆さんに当てはまることではないと思うので、参考にしてもらえるくらいが嬉しいです!
BRANDYさん

笑顔が本当に素敵なBRANDYさん

「美しく社会貢献する女性」BeautyJapan神奈川県ファイナリスト

内藤
最後に、BRANDYちゃんが自身の活動として「差別をなくすこと」や「自分らしくあること」を伝えてるようなことって何かあるかな?
最近はnoteというプラットフォームを使って、それらを表現している映画を観た感想とかを書いたりしてますね。黒人差別だけでなく、スクールカースト最下位の方を描いた作品とかも観ています。
BRANDYさん

BRANDYさんのnoteで紹介

※実はこのオススメの映画や作品について、とっても盛り上がり、それだけを語る記事が作れそうなので別な機会にお送りします

内藤
いいね!自分が差別をされたり、無意識に差別をしてることに気づけてない場合は、特に映画は気づくキッカケになりそう。
あとは、BeautyJapanという、一見ミスコンのような大会なのですが「美しく社会貢献する女性」というテーマのコンテストがありまして、そのビジョンに共感したので出場しています。
BRANDYさん
内藤
素敵なコンテストだなー。ちなみにもう予選とかは終わったの?
はい、今は神奈川県のファイナリストになっています。
BRANDYさん
内藤
え!凄いじゃん!さすが!(大興奮状態)次のスケジュールとかは決まってるのかな?
コロナの影響で少し内容は変わってしまったのですが、今月523日にオンラインでのプレゼンがあって、そこを通過すれば日本大会に出ることができます。
BRANDYさん
内藤
うおー!もうまもなくだ!
この大会では、アーティストとして「自分を愛すること」「毎日に希望を持つこと」「女性として強く生きること」を表現して活動してることや、これから行う予定の父の国、コンゴ民主共和国への女の子のキャリア貢献活動なども伝えていきたいと思います。
BRANDYさん
内藤
大応援しております!

後日、大会はトラブルがありつつべた褒めされて終わったようです!お疲れ様でした!

BRANDYさんを応援しよう!

今回の取材を聞いてBRANDYさんのことをもっと知りたい!挑戦を応援したい!などを感じた方は以下のアカウントを覗いてみてください!

BRANDY Twitter

BRANDY note

対談後手記

自分もBRANDYちゃんのように海外に行って自分が差別をされた側になったときに初めて、先天的なアイデンティティで差別をされる辛さを経験しました。

また、弊団体代表のゾマホンは奥様が日本人で、子供はミックスなのですが、その子が言っていた言葉で「私は日本にいてもベナンにいても外国人って言われるんだよ」って言っていたのを聞いて「ハーフってカッコいい!」と安易な考えで接してしまっていたことも反省しました。

そして、ほとんどの差別は「知らないから」起きてしまっていると考えています。

冒頭にも述べましたが、差別の問題は一度の学びや経験でなくなるほど簡単な問題ではなく、なんども真剣に向き合って、ときには考え方を共有したり議論をすることで、徐々に相互理解が生まれて無くなっていくのではないかと思っています。

今後も、差別について考えるきっかけを活動を通じて提供できるように頑張っていきたいと思います。

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〈取材・文=内藤獅友(@Naikel0311)/撮影=土屋みなみ〉

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