AYINA副代表の内藤です。
アフリカの民族といえば多くの方が、草原をバックに赤い布をまとい、細長い棒を持ち、CGかと思うくらいのジャンプをする「マサイ族」を頭に浮かべるかと思います。
近年、憧れのマサイ族を一目見るためにアフリカに来られる方も増えてきておりますが、実は日本にもマサイ族がいるってご存知でしたか?
一体どんな背景で日本に来られて、そして全く異なる環境で暮らし何を感じているのか、タンザニア出身のマサイ族メティリさんにお話を伺ってきました!
※コロナの影響でオンライン取材となっております
コロナの影響もあり、直接会ってお話ができないのでオンラインで取材しました。
マサイ族は一夫多妻制で兄弟は20人以上!
内藤
今日は取材に協力していただき、ありがとうございます!部屋の中だと思うんですけど、ちゃんとマサイ族の布をまとってるんですね!
うんそうだね、日本の皆さんの前でお話するときはこの方がいいかなって思って。
メティリさん
内藤
(サービス精神が半端じゃない・・・)さっそくなのですが、メティリさんはマサイ族として生まれ育ったとのことなんですけど、家族構成をおしえてもらってもいいですか?
弟が3人いて、姉妹が3人だね。お母さん側は。
メティリさん
内藤
ん?お母さん側はということは、お父さん側は別でいるってことですか?
一夫多妻制だから、お父さん側をいれたらもっと沢山いるよ。20人以上はいると思う
メティリさん
内藤
親戚レベルにいるんですね(笑)どんなご家庭だったんですか?
実はおじいちゃんがマサイ族が住んでいるリグアナニという、一つのエリアの長(チーフ)だったんだ
メティリさん
内藤
え?てことは村長みたいな存在だったってことですか?
そうだね。例えば日本でいうような裁判所がマサイ族の中にはないから、何か問題が起きたときとかは、うちのおじいちゃんが裁いていたりしてたよ。
メティリさん
内藤
すごい。じゃあお父さんも偉かったんですか?
いや、父はおじいちゃんの一番最後の息子だったということもあって、特にチーフになったりとかはしてないんだ。それに、チーフは世襲制ではなく選挙で決まるからね。
メティリさん
学校に行くよりも牛を育てる方が大事
内藤
この話だけでも面白すぎて永遠に聞くことが絶えなそうなので無理やり前に進めますね(笑)今、日本に学生としてきてますけど、勉強は好きだったんですか?というか学校ってマサイの方々は全員がいくんですか?
全員が行くわけではないよ。むしろマサイとしては、学校に行くよりも牛(ケトルというらしい)の面倒をうまくみれる方が褒められるんだ。
メティリさん
内藤
牛!マサイ族にとって牛は特別な存在なんですね?
そうだよ。牛はマサイ族がもっとも大切にしている存在といっても過言ではないんだ。
メティリさん
内藤
では、メティリさんも学校にいかずに牛の面倒をみていたんですか?
僕は7歳から11歳までの4年間、家から20キロほど離れた山の中に住んで牛を育てていたよ。
メティリさん
内藤
すみません、さっきから一つ一つの回答が想像の7つ上をいっていて追いついておりません。えっと、ご両親と離れて暮らしていたってことですか?
そう、兄弟だけ。親や村の大人はたまに様子をみにくるけどね。まあでもキリンやシマウマはすぐ近くにいるよ。
メティリさん
朝3時起きで水を探す生活を4年間
内藤
僕もボーイスカウトで小さい頃にキャンプしたりしてたって日本のみんなにドヤってましたが、比べるとおままごとに思えてきました。
朝は何時に起きるんですか?
朝はドライシーズンだと自分と牛たちの飲む水を探さないといけないから、午前3〜4時に起きて、水が溜まっている池のようなところに行くんだ。
メティリさん
内藤
3時起きですか・・・
で、1時間くらい歩いてたどり着くんだけど、他の動物が飲んでたりするから、それを待たないといけないんだけど、長いときは3時間くらい待ったりするからそれで午前中が終わったりもするね。
メティリさん
学校に行きたくて内緒で入学届けを出す
内藤
今日から水を飲むときに毎回このお話を思い出しそうです。あれ?じゃあ学校は結局いってないってことですか?
牛を山の中で育てて4年くらい経った頃、11歳だったんだけど、いったん自分の村にもどる機会があって、正直ぼくは森の暮らしがつらかったし学校にいきたかったから、内緒で学校に入学申請をしてきたんだ。
メティリさん
内藤
親御さんに内緒で!怒られませんでしたか?
とってもカンカンだったよ。それで、親はぼくの代わりに弟を送ったんだ。でも、先生が拒否した。そのおかげでぼくはひとまず学校にいけたんだ。
メティリさん
内藤
もし先生が弟さんを受け入れていたら、また森の牛育てをやっていたかもしれなかったんですね。
勉強でナンバーワンになった
それで、学校に行きはじめたらめっちゃ楽しくて、すぐにその校内で一番の成績をとるようになったんだ。
メティリさん
内藤
え!すごい!!勉学の才能があったんですね!
ぼくのエリアは中学校に進学するためのテストがあるんだけど、そのときは57名中10名が合格。ぼくもその中に入れたんだよ。
メティリさん
内藤
うわー狭き門なんですね。そのときはご両親はどんな反応でした?
先生も家にきてくれて、「メティリくんは勉学の才能があるので中学校に行かせてください」といってくれたんだ。すると親もようやく認めてくれて、中学校に行かせるために牛を売って学費を払ってくれたんだ。
メティリさん
内藤
なによりも大事な牛を売って行かせてくれるってことは、本当にすごいことで、親も応援してくれたんですね!
結局、中学でも特に数学が得意で学校でナンバーワンになったし、恩返しとしては親が文字を読めないからぼくが手紙を読んだり書いたりしてあげるとすごく感謝してくれるんだ。
メティリさん
内藤
なんかメティリさんと話していると、当たり前にあったものに対してありがたみをどんどん感じるようになってきました。
カイゼン研修を受けて日本に興味を持った
内藤
日本にくるキッカケはなんだったんですか?
大学まで卒業して、政府系の組織で働いていたときに、JICAで働く日本人の方からカイゼンや5S(製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるスローガンである)トレーニングを受けたんだ。それがすごく良くて、日本にいけばもっと色々学べると思ったんだ。
メティリさん
内藤
日本の仕事のやり方はタンザニアの方にも影響を与えるんだなぁ。それで、ABEイニシアチブを受けたんですね?
うん。合格までが結構長くて、5回もインタビューがあったよ。でも結局受かることができてよかった。
メティリさん
日本の友達がもっと欲しい
内藤
日本にきてからのお話を聴かせてください。今は日本にきて半年ちょっとだと思いますが、日本の文化について思うことはありますか?
文化というか、日本語が面白いね。難しいんだけど、本やネットで勉強をしているよ
メティリさん
内藤
外国人目線でみると、日本語ってマジで習得大変な言語だなって思うんですけど、面白いと思えるってすごいですね。日本人の方に教わったりはしてないんですか?
来日して半年間はプログラムとして日本語を学べるんだ。でもそのあとは自主学習だけだね。
メティリさん
内藤
日本の友達はできましたか?
それがなかなかできないんだ。みんなバイトで忙しかったり、今はコロナで学校にいけないしね。
メティリさん
内藤
えー!もったいない!メティリさんのような方と日本でお話をできる機会なんて滅多にないのに!
こうしてオンラインで繋がるのも嬉しいんだけど、やっぱりフェイストゥフェイスで話せる友達が欲しいんだ。外国人の友達も最近帰っちゃったりしたしね。
メティリさん
内藤
きっと、メティリさんと知り合うきっかけを作れれば、お友達できると思うので、僕らも何か協力しますんで一緒に近所のお友達をつくりましょう!
それは嬉しいね。
メティリさん
内藤
あとは差別的な扱いを受けたことってありますか?
差別なのかはわからないけど、スーパーに行ったときに話しかけられて、何をいっているかわからなかったけど笑われたことはあるね。でも、言語が通じなかっただけかなと思ってそんなに差別って感じはしなかったけど。
メティリさん
内藤
日本は特に地方だと英語を話す機会がないから、来られている外国の方が日本語ができないとなかなかコミュニケーションとれないですもんね。でも、メティリさん頭いいから、日本人ともたくさん話しまくったら日本語すぐ覚えそうです!
そうだといいけどね。
メティリさん
夢は起業家!
内藤
最後に、将来の夢をきかせてください!
教育者になることは以前から考えていたけれど、今はアントレプレナー(起業家)の道も考えてるんだ。自国のタンザニアに戻って特にテクノロジー系で事業を起こして、社会的インパクトを与えたいと思ってるよ。
メティリさん
内藤
メティリさんなら何でもやれそうな気がします!本日はどうも、ありがとうございました〜!
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〈取材・文=内藤獅友(@Naikel0311)/撮影=土屋みなみ〉