AYINAスタッフより
2019年8月に開催されたアフリカホームステイ特別編の「ベナン人起業家の卵と行くスタディツアー&国際交流の旅」
今回はその参加者の一人「あかちゃん(ペンネーム)」さんからのレポートを前編・後編にしてお届けします!
こちらは後編です!
ベナンの旅で体験したことをざっくり紹介
今回私が参加したツアーは、"ベナン人起業家の卵と行くスタディーツアー&国際交流の旅"というものだった。名前の通り、ベナン人参加者4人(ツアーコーディネーター含む)と日本人参加者6人と内藤さんでベナンの観光地を巡り、歴史を学び、また国際問題にも触れていった。
【今回訪れた観光地】 【アクティビティ】 【国際問題について】
☆アボメー(ベナン唯一の世界遺産)
☆水上都市ガンビエ
☆ブードゥー教の中心地ウィダ
☆アフリカ布選び&オーダーメイドのアフリカ服作り
☆国際交流会
☆アフリカ楽器&ダンス体験
☆お疲れ様パーティー
☆現地スタートアップ訪問
☆NGO訪問
☆JICAボランティア(青年海外協力隊)訪問
☆英語学校訪問 等々
こうしてリストにしてみると、2週間で結構盛りだくさんの経験をしたんだな…。私の8月後半は、長いようであっという間に終わってしまった。
ここからは写真と一緒に振り返ってみようと思う。
農業体験。田植え(人参)、水やり、草刈りもしました。空が広かったなぁ…
皆でアボメー観光!ベナン唯一の世界遺産「アボメーの王宮群」は撮影不可の場所だった。
ガイドさんが展示物を一つ一つ丁寧に説明してくれたのだが、何しろ敷地内を移動しながらの説明。余りにも説明が長すぎて、日本人参加者2名が貧血により脱落した(笑)
アボメーの街の入口には、アボメー王国の王様ベンハンゼンの銅像が立っている。友人と一枚パシャリ📷
ベナンの大きな市場に来た!自分好みのアフリカ布を選びました。長時間布を眺めていると目が疲れる…!!
その後、テイラーさん(仕立て屋)にお願いをして、オーダーメイドの服を作ってもらいました!アフリカ布は生地が結構しっかりしていて、服はタイトな仕上がり。ちょっと暑かった。
夜は国際交流会。ベナン側と日本側で、お互いの国について紹介し合った。交流する中で、「日本人は、なぜ宗教を信じていないのか」「犬、猫が家族?アフリカ人にとって、それらは食料という認識しかない。」など、面白い質問がたくさん飛び交った。
さて、今日は水上都市ガンビエへ。ここでは家はもちろん、お土産屋さんや小学校、病院など全てが水上に建てられている。ここで暮らす人々の移動手段は泳ぐか小型の船を使うこと。
常に水上での生活の為、なんと、ガンビエの子供達には歩き方を知らない子がいるという。そのため、人工的に作った陸の上で歩く練習をするそうだ。
ちなみに、この湖の水はとても汚れており、水しぶきがかかっているであろうガンビエの食べ物は、日本人の私達が食べると100%腹を壊すらしい。
翌日はウィダ観光。ここはブードゥー教が信仰しており、蛇は神様として扱われていた。”蛇の寺”という所では、首に蛇を巻くことが出来る。太くて長い蛇はしっとりと冷たかった。
また、ここはかつて奴隷貿易が盛んに行われていた地域のため、ウィダ歴史博物館という場所では奴隷化時代の歴史を学ぶことが出来る。
この博物館は、旧ポルトガル奴隷商人の邸宅だったらしく、当時の大砲などがそのまま残っていた。ちなみに、その大砲は全て内側を向いていた。外部の敵に対するものではなく、逃げ出した奴隷を殺すために使われていたらしい。
ビーチには、奴隷としてこの門を通り海を渡ったきり二度と戻ってくることはなかったことから「帰らずの門」と呼ばれる門が立っていた。
楽しい体験コーナーも紹介!講師の方のもと、アフリカ楽器&ダンスを教えてもらった。アフリカダンスを男の子が踊って見せてくれたが、独特な動きが難しかった…。
楽器もいくつか用意してもらい、一つ一つのリズムを丁寧に教えてもらった。最後にはみんなで音を合わせることが出来た。お気に入りの写真がこちら↓↓
また、お菓子を販売している企業へ伺った。生産用の機械等は無いため、販売している商品は全て手作り。ビジネスをする中で大変な事、辛い事、やりがいなどを聞かせて頂いた。実際に目の前で作ってもらったお菓子がこちら!甘くて美味しかった!↓
また、アフリカの子供達の教育について。学校へ行けない子供達、教育の行き届かない現実、彼らが住んでいる貧民街(スラム街)の現状などを実際にこの目で見て、学んできた。写真では決して伝えられないものがあった。
まだまだ2週間で体験した事はこれだけではありません!人生初バイクに乗せてもらいベナンの街を走り抜けたり、全然知らないおっちゃんに絡まれたり、少年がニワトリとダンスをしているのを目撃したり...本当に刺激的な半月間だった。
ここに全てを書ききれないのが悔しいけど、本当に海外へ飛び出してみて良かったと、珍しく自分の選択に自信をもって言うことが出来た。
アフリカが抱える問題について
私がベナンに行って特によく感じたことは、とにかく子供が多いことだった。少子高齢化に悩む日本とは真逆で、アフリカは大人より子供の数が圧倒的に多い国だった。
実際、半月の滞在だったが高齢者は数えるほどしか見ていない。
子供が多いのは良いことではないのか。確かに、今後の国の発展には若者の力が必要である。しかし、それ以前に多すぎる子供の数は大きな問題を生み続けていた。
そもそも、なぜこんなにも子供が多いのか。
主な原因は、親自身が”教育”を一切受けたことがないからだ。一般教養(算数、文字の読み書き等)はもちろん、性に関する教育も受けていない。そのため、避妊の仕方、子供の育て方などを知らない親も多いので、たくさん産むが、死んでしまう子も多いのが現実だった。
また、今回の旅で新しく知ったこと。それは、老後の世話役として子供が必要なため、夫によって無理矢理産まされている現状があるということ。
しかし、お金が足りず、今いる子供達すらまともに養えない状況でさらに子供を産んだらどうなるか。貧困がますます深刻になることは言わずとも分かる。実際、望まぬ妊娠から逃げる女性も多いのだという。
日本の場合、子供は一家族に1~2人が平均だが、アフリカでは5人以上いても普通だ。また、一夫多妻制の文化がいまだ根付いている地域もあり、アフリカの家族は基本的にどこも大家族だ。
一人の男性にたくさんの妻、彼らの子供たちに加えて上の子供は結婚をしてさらに子供を産む。とてもややこしい関係性だが、このような結果 大家族となるのだ。
教育の大切さを知らない親は、学校へ進んで通わせようとはしない。ベナンの学校は、進級試験を受けるのに500CFA(約100円)が必要になる。
そのお金すら払ってもらえず、進級できずに、やがて学校にも来なくなる子供がいると、私の友人ウィルが涙ながらに話してくれた。
ベナンで出会ったウィルという男性は、今回のツアーを通して仲良くなった。彼はとても好奇心が旺盛で、初対面なんて関係なく積極的にコミュニケーションを図ってきた。
底抜けに明るく常に笑っていた。高すぎるテンションについていけないくらいだ。みんなで写真を撮ることが大好きで、音楽とダンスも大好き。また、よく日本語を教えてほしいと言われ、簡単な挨拶などを教えてあげた。
そんな彼だが、生まれ育った場所はベナンの貧民街、いわゆるスラム街と呼ばれる場所だった。
彼はそんな自分の環境を変えなければと思い、自力で一生懸命に勉強をして、ビジネスの計画を練り、5年間学校へ通えなかった時期があったにも関わらず首席で卒業したという。
現在は自分と同じように学校へ通えない貧民街の子供たちを助けたいと、ボランティアで学校を開くなど、NPO活動に力を注いでいる。(赤いシャツの彼がウィル)
ツアー中、彼が生まれ育ったという貧民街まで案内してくれた。そこはゴミ溜め地になっていて、つんと悪臭が鼻を突いた。
ハエが飛び回り、砂埃や生ゴミの臭いなど、一日いるだけでも喉や肺を悪くしてしまいそうな環境だった。私たちの周りを取り囲んで楽しそうについてくる子供達も、服は汚れて破けた布一枚だったり、顔には鼻水や砂、ハエがたかってしまっていた。
写真だけでは分からない現地の環境を五感で感じた瞬間だった。
それでも、子供たちの笑顔は眩しかった。無邪気に笑いかけてくれて、手を振り返してくれて、手を握ってくれた。アフリカの子供たちの笑顔は本当に素敵だった。だからこそ、その笑顔の裏に隠れた闇を知ったとき、世界の残酷さを知った。
また、青年海外協力隊としてベナンで活動中の方に、お話を聞きに行く機会があった。その方は助産師として活動していた。ちょうど、生まれたての赤ちゃんがいる家庭へ定期健診に行くとのことでその様子を見学させて頂くことに。
その家の赤ちゃんはもともと双子だったらしい。しかし、衛生面や栄養失調が重なって一人は死んでしまった為、今はまだ頑張って生きているもう一人の子をみんなで見守っているのだという。
下の写真は、その赤ちゃんの状態を測っているところ。腕に巻かれた紙の矢印が、赤いゾーンを指している。赤はデッドゾーン、つまり平均の腕の太さまで至っていないということだ。
しかし、以前よりは黄色のゾーン(平均)に近づいているようで、引き続き様子を見ていくという。
また、母親のケアも忘れずに行うようにしている。この家も一夫多妻制のため、複数の母親とその子供達で大家族だった。今回赤ちゃんを亡くしてしまったお母さんは、その中でも新米のママさんだったらしい。
若い人は家族の中でも下の立ち位置なのだが、それに加え「子供一人育てられないなんて駄目な母親だ。」と心無い言葉を言われることも少なくない。
協力隊の方は、そんなお母さんの傍に寄り添い、「大丈夫、貴方は頑張っているよ。」と声をかけていた。
何の知識も無いまま訪れた、アフリカという国。優しくフレンドリーな国民性、日本とは全く違う文化、言語、常識。そして、今もなお続く貧困という問題。
実際に目の当たりにして、国際協力に対しての考え方が少し変わった。私はもともと国際協力の分野に興味があり、青年海外協力隊やNPO活動についてよく調べていた。
しかし、実際に現地へ足を運び、アフリカの現状を教えてもらい、自分の目で見て帰ってきた。今の私には、以前のように「国際協力の分野に進みたい」とは簡単に言えなくなっていた。
ただの正義感や軽い気持ちで踏み入っても、多分自分が潰れてしまうと思ったし、相当な覚悟がなければこの問題に向き合い続けることはできないと感じた。
それでも、日本にいながら支援をすることは可能だ。例えば、ユニセフ募金だったり、現地の人達が作ったモノを購入することが応援になったりする。あとは、NPO団体などが主催するイベントに参加してみるのも支援の一つだ。
私も、直接的な助けにはならないかもしれないけど、自分が出来る小さな支援は続けていきたいと思っている。
私が見舞われたトラブル集(笑)
1,初めての海外だ!服装には気を付けろ...!
荷物検査、空港に着けば必ず通らなければいけない道だ。私はスムーズに通るため、あらかじめ機内に持ち込めない物なども調べておいた。
しかし、自分自身のチェックを忘れていたのだ...!当日、私はベルトを身に付けていた。そう、金属を身に付けていたのだ。
当然、金属探知機ゲートで引っかかり目の前でいちいちベルトを外す始末。出発の日は家族にも見守られての出発だったため、恥ずかしかった(笑)
2,虫!とにかく虫ィ!!
アフリカといえば、蚊による感染症が心配だという声をよく聞く。確かに、蚊はめっちゃいる。しかも日本の蚊より強い...!
私は日本でも毎年ブヨに刺されるなど虫に好かれる(?)体質だった為、かなり警戒して虫よけスプレーやムヒを持って行った。しかし、全ッッく効果なし。
後から話を聞くと、アフリカの蚊はディートという成分が入った強めの虫よけ剤でないと効果がないとのこと。というわけで、2週間蚊に刺され放題wついでにダニにも4箇所噛まれてきました( ;∀;)日本の虫よけはもはや気休め程度...
3,旅行先あるある!腹ぶっ壊した!
アフリカのご飯はとにかくスパイシーで量が多い。日本のようなお出汁なんてものは無いので、当然食生活も一気に変わる。
滞在1週間が過ぎた頃、朝目を覚ますと同時に強烈な腹痛が。慌ててトイレに駆け込むと、ほぼ液体状の下痢が止まらず...。
恐る恐る便器の中を見てみると、昨夜の夕飯で食べたモロヘイヤがそのまま出ていて真緑のグロ映像が広がっていた。胃腸が疲れて消化することを諦めたと思われる...(笑)(ちなみに液体状の下痢が出た場合は細菌の可能性もあるので、すぐに下痢止めは飲まず、落ち着くまでは出し切った方が良いとのこと。水分補給も忘れずに!!)
他にも、アフリカの水道から出る水は基本的に日本人は飲めないので、市販のミネラルウォーターを支給してもらっていたり、思い当たる節は色々とある。
でも、アフリカに来た!って感じでいい経験になりました。ちなみに、この記事を書いてる今もちょくちょく下痢でトイレに往復してます。なかなか治らん!(笑)
↓↓腹を壊す前日の夕飯、モロヘイヤたっぷりのウォー。美味しかったです。
4,日本人はなめられやすい…。
日本は世界からの信頼が強く、国籍が日本というだけで簡単な空港審査で通してくれることがある。その反面、日本人はなめられる事も多い。
ベナンから出国する時、コトヌー空港でのことだ。出国審査の際、列に並んでいたのだが、何故か自分の番になった瞬間ストップと手で合図をされた。
監査の人が席を立ちどこかへ行ってしまったので大人しく待つことにした。自分だけ足止めをくらい、他の客はどんどん通っていく。
しばらくすると、水とお菓子を片手に戻ってきた。”休憩だったのかな、とりあえずやっと通れる...”とほっとしたのも束の間、目の前で水を飲みのんびりと菓子を食いながら隣の監査とお喋りを始めた。
さすがにキレかけた...が、ここで黙っているのが日本人。だからなめられるんだろうな...と思いつつ、だいぶ時間は取られたが通ることが出来た。初海外で、いい勉強になりました(笑)
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8月16日の夜、成田空港から日本を飛び出しアフリカを目指した。2週間をベナンで過ごし、悩みなんて忘れるくらい刺激的な日々を体験した。帰りの飛行機で、ふと思った。
「あれ、自分は一体何に苦しんで、あんなに悩んでいたんだっけ。」
逃げるように海外へ飛び出してみたら、以前のような息苦しさは幾分か楽になっていた。
自分の頭の中に居座っていた固い常識が、ぶち壊されていた。
押し潰されそうなくらい大きかったはずの自分の悩みが、今では小さく見える。
持ち前のマイナス思考な考え方が変わった訳では無いが、それでも以前より自分に優しくしてあげられるようになった。
"逃げ"だと思っていた今回の旅が、いつの間にか、自分にとって大切な区切りの旅になっていた。大切なことを、沢山教えてもらった。
アフリカにあるベナンという国。1か月前は全く知らない未知の国。
でも今は、私の大切なファミリーと友人がいる、とても温かい国だ。
ベナンで生活中は、虫に刺され、腹は壊し、アフリカ人の勢いに圧倒され、正直早く帰りたいなと何度も思った。
でも、日本に帰国して2週間が経とうとしている今。ぼんやり思っていることがある。
また、アフリカに行きたいな。