日本にも数多くいる在日アフリカンの方にお話を伺い、
出身国のことや実際に日本に住んでいて感じること、
そしてその方自身のストーリーについて教えていただき、
今日から友達になれるくらい近くに感じてもらえるような取材をする企画。
今日から繋がるニッポンの〇〇アフリカンズ(略して「今日アフ」)
今回は、ベナンからABEイニシアティブ(※)生として来日している
エマニュエルさんにお話を伺いました。
※なお、本文の期間・時期を表す数字はインタビュー当時のものです
Agossou Bidossessi Emmanuelさん(33歳)ABEイニシアティブ生として2019年9月に来日。神戸情報大学院大学で、情報システム専攻・ICT(※1)イノベーションコースに所属。研究は「IoT(※2), コンピュータービジョン(※3),機械学習(※4)を用いた養殖漁業の改善」。来日前はベナンでコンピューターエンジニアリング(学部)を、ベルギーでコンピューターサイエンス(修士)を、それぞれ修了。8人家族(姉妹4人と弟1人)の長男で、ラーメンと鮭おにぎりが大好き。
当初はパイロットを目指していた彼。コンピューターを専攻しようと思ったきっかけとは?
AYINAまさき
初めまして、エマニュエルさん。今日はよろしくお願いします!
エマニュエルさん
AYINAまさき
まず、コンピューターに興味を持ったきっかけは何だったの?幼いころからパソコンが身近にあった?
正直に言うと、小さい頃は全く興味がなかったんだよね。パイロットや医者に興味があったんだ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
そこから、コンピューターを専攻するようになった経緯、気になる!
高校卒業後にパイロットや医者になるための入学試験を受けたんだけれども、全部落ちてしまって、それならと思って薬局で働いてみようと思ったんだ。そしてまた試験を受けたところそれにも落ちてしまって、どうしようか迷っていた時に、お父さんからコンピューターエンジニアリングの大学の試験を勧められたんだ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
お父さんはエンジニアだったから、きっと自分と同じような道に進むことを望んでたのかもしれないね。私は本当にその試験を受けたくなかったから、何も準備をせずに受験したんだ。でもなぜか合格してしまったんだよ!笑
エマニュエルさん
AYINAまさき
今ではコンピューター関連の勉強がとても好きになったから、お父さんには感謝しなきゃ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
人生何があるかわからないなあ。ベナンで大学を卒業してからは何をしてたの?
ベナンの防衛省(Ministry of Defense)で、エンジニアとしてしばらく働いていたよ。そのあと奨学金をもらって、コンピューターサイエンス(ソフトウェアエンジニアリング)の大学院で修士号を取るためにベルギーに行った。その時に並行して、今もらっている奨学金のABEイニシアティブに、JICAベナンを通じて応募していたんだよね。ベルギーの大学院での卒業時の成績がJICAに認められて、今こうして日本にいられるんだ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
笑顔がかわいいエマニュエルさん
3か国で教育を受けてきた彼が考える、それぞれの国の教育の特徴は?
AYINAまさき
ベナンからベルギー、そして日本と3か国の教育を受けてきたエマニュエルさんに聞いてみたい!それぞれの国の教育にはどんな違いがあると思う?
おぉ、それはいい質問だね。まずベナンについて。ベナンでは高速のインターネット環境は整っていなかったから、インターネットにアクセスするのが難しかった。それから、大学の研究室で使うことができるPCやタブレットなどのデバイスの数が限られていたんだよね。更にいうと、実習や実験の多い学校と、そうでないところがある。でも、ベナンの教育の質はかなり良いよ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
ベルギーと日本の違いは、1授業当たりの単位数が違う、ということかな。
エマニュエルさん
AYINAまさき
例えば、日本は大体1授業当たり2単位っていうのが普通だと思うんだけれども、ベルギーは1授業当たり4単位だよ。その分、ベルギーは1授業当たりの授業時間が多い。日本はいろんな授業をたくさん選べる一方で、ベルギーは授業時間が多いから選べる授業が限られてくる。そういう違いがあるとはいえ、授業内容や勉強の環境については、ほとんど違いはないと思うよ。他に気が付いたことといえば、日本では言語的な壁があって履修しにくいことかなぁ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
そんな違いがあるんだね。ベルギーと日本についてまとめてみるとこんな感じかな。
1講義あたりの単位数 | ベルギー | > | 日本 |
1講義あたりの授業時間 | ベルギー | > | 日本 |
選べる講義数 | ベルギー | < | 日本 |
インタビューの様子
コミュニケーションを取るのが難しいけれど、教育水準が高く自然が多い日本
AYINAまさき
はい、大学の留学生寮に住んでいて、とても過ごしやすい。入居者はみんな英語を話すから、コミュニケーションにも困らないよ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
日本人を含め、ほんとにいろんな国の人がいるよ!アフリカからだと、ウガンダ、マリ、ルワンダ、南アフリカ、ジンバブエ、レソトの学生が住んでるかな。
エマニュエルさん
AYINAまさき
アフリカでは一般的に、他人との間にコミュニケーションが多いんだけれども、日本に来てそれが少ないなーという印象を受けたかな。ベナン人と比べると日本人は少しシャイだから、その影響もあるかも?私はまだ日本語が思うように話せないから、人とコミュニケーションを取るのが難しくて、友達を作ったり、コミュニティーに参加したりするハードルが高いね。
エマニュエルさん
AYINAまさき
メインのインタビュアーは、ベナンに3回渡航したことのあるまさきが担当しました
AYINAまさき
ところでエマニュエルさん、日本の好きなところってなにがある?
教育のクオリティーが高いところ。例えば私が勉強しているICT関連のことについては、ベナンには無い内容の教育がたくさん用意されているし、レベルが高い。そして、大学ではフォローもしっかりしていて、講義で分からない事があればいつでも質問できる機会がある。勉強するにはいい環境だと思う。
エマニュエルさん
AYINAまさき
教育を受けられる機会があるということは、いいところだね。教育以外では何かある?
私の周りには、ビーチがあるし、自然も多いところが気に入ってるかな。京都には金閣、竹林など、たくさんの観光地があってとてもエンジョイできているよ。
エマニュエルさん
来日後好転した日本の印象。しかしアノ豆料理(?)には絶句・・・
AYINAまさき
小さい頃、ベナンで日本の文化に触れる機会はあった?
エマニュエルさん
AYINAまさき
登場人物がみんな筋肉もりもりで強くて、日本人=強い、怖い、って思っていたかな。
エマニュエルさん
AYINAまさき
あとは、日本人はずっと働いてて休みがないって聞いていたから、日本に行ったらみんながロボットのように毎日たくさん働いてたらどうしよう、って心配していた。それに、日本の冬はほんとに寒くて乾燥していて、夏はとっても暑くて、地震も頻繁に起こるって聞いていたから、日本に来るのが怖かったよ、本当に。
エマニュエルさん
AYINAまさき
変わった!思っていた日本のイメージと違ったな。日本人は他人に対するリスペクトがあって、とても優しい。筋肉もりもりで怖いイメージはどこかにいったね笑。だから人は全然怖くない。でも、地震は、慣れたとはいえまだちょっと怖いかなー。
エマニュエルさん
AYINAまさき
ラーメン!あとは、鮭おにぎりと日本酒も好きだなー。
エマニュエルさん
AYINAまさき
エマニュエルさん
AYINAまさき
Oh…あれはほんとにダメだったよ!!!トライしたけれども!!!
エマニュエルさん
AYINAまさき
日本人の友達に、「これ、ただの豆だよ!」って勧められて、一口飲みこんでみたけれども、最悪だった。べたべたするに加えて、特ににおいが・・・あー、思い出したくない。
エマニュエルさん
AYINAまさき
たしかに、納豆は好き嫌いが分かれる食べ物だね笑。 ベナンと日本の食べ物の違いってなにがある?
日本の食べ物は、全体的に甘い感じがする。ベナンはしょっぱくて、スパイシーな感じが多いから、それも日本とベナンの違いかな。
エマニュエルさん
納豆を思い出しただけでこの表情です
強運の持ち主。日本語がほとんど分からないのに、奨学金の試験に合格する
AYINAまさき
ところで、ベナンにいる時から日本語を勉強してたの?
じつは、3~4年前にトライしたことはあったよ。トライした…でも、とっても難しかったね。特にその時期は、フルタイムで働いていたから基本的な挨拶ぐらいしか習得できなかった。
エマニュエルさん
AYINAまさき
そう。そしてなぜか、その奨学金の日本語の試験をパスすることができたよ。ほんとに不思議なんだけれども、なぜか合格できた。
エマニュエルさん
スマイル全開のエマニュエルさん
エマニュエルさんが考える、自身のこれからの将来は?
AYINAまさき
エマニュエルさんの奨学金制度は、日本でのインターンが必須になっていたよね?これから将来に向けて、どんなことをしていきたい?
まず、9月から大阪にある材料系の会社で、ソフトウェアのシミュレーション関連業務を担当する予定なんだ。日本での勉強が終わってからのことは考え中なんだけれども、おそらく日本でコンピューター関連の博士後期課程に進むかな。
エマニュエルさん
AYINAまさき
素晴らしい!チャンスをつかみ続けてください!!将来ベナンに戻る予定はある?
今、大学院でIoT, コンピュータービジョン,機械学習を用いた養殖漁業の自動化についての研究をしていて、将来的にはそれをベナンでの魚の養殖に役立てられないか考え中。これを活用すると、水質をリアルタイムで計測できるから、魚にとっていい環境で養殖ができるようになるはずだよ!
エマニュエルさん
終わりに
AYINAまさき
最後に、この記事を読んでいる皆さんにメッセージをお願いします!
アフリカは54の国で構成されていて、それぞれの国にそれぞれの文化がある。国によって政治や宗教に様々な違いがあるし、経済やテクノロジーにもいろんな状況があるんだよね。もしかしたら、アフリカについてマイナスな偏見だけにフォーカスをして、それを言ってくる人がいるかもしれないけれども、本当の姿を知ってもらえれば、きっと好きになると思う。もっと多くの人に、アフリカの国々のことをきちんと知ってほしいなと思っているよ。
エマニュエルさん
AYINAまさき
今日は本当にありがとう!!今後ももっといろいろなイベントができるように頑張るので、また機会があったら協力してください!!
エマニュエルさん
ありがとうのポーズ
《取材=まさき・まゆ、記事=みづき、撮影=なおこ》
在日アフリカン事業サポーター募集中
私たちAYINAは、今年から在日アフリカンの方に対するプロジェクトに専念しています!
クリックしていただくと支援ページに飛べます
事業を立ち上げて軌道に乗せるまでのマンスリーサポーターを募集しております!
クリックしていただくと在日アフリカン事業の概要をご覧いただけます
月500円から参加いただけ、毎月メルマガで進捗の報告を得られ、
一緒にプロジェクトを作り上げる仲間になることができます!
よろしくお願いします!